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水無瀬和馬は、高校生だというのにバイトに明け暮れていた。
水無瀬家はかなり貧乏だったのだ。
和馬はバイトの帰り、密かにお気に入りの花畑でいつものように”あの話”を思い返す。
亡き曾祖母の雪枝の話で、水無瀬家は大正時代まではかなりの大金持ちだったという話だ。
何故この100年程の間に金が無くなってしまったのか?
その理由を雪枝は答えようとはしてくれなかった。
大正時代に戻れたら、絶対に原因を究明して阻止するのに……。
そんなことを考えながら帰路に着こうとするが、不意に不思議な香りが鼻をつつく。
その香りのせいか、段々ふらふらとした不思議な感覚に包まれた和馬は、帰り道の途中で遂に気を失ってしまう。
次に目を開けた時、和馬の目の前には見知らぬ光景が広がっていた。
訳も分からないが、あれこれ考える間もなく、更なる驚きが襲う。
自転車に乗った女の子が、つっこんできたのだ。
慌てて避ける和馬だが、少し怪我をしてしまった。
勢いよく謝ってくるその女の子と、その連れの女性に連れて行かれたのは、病院だった。
女の子はこの病院─緑ヶ丘病院の患者さんで、連れの女性は看護婦さんだという。
和馬は2人と話をしながら、いくつかの情報を得る。
そこで得た情報は、ここが大正時代だということと、この時代の水無瀬家はこの病院のオーナーだということだった。
来たくて来たくて仕方のなかった大正時代……。
そんな和馬に看護婦さんは語りかける。
先程の女の子は、長い入院生活で話し相手も少ない。
そんな彼女がさっきは楽しそうだった。彼女の力になって欲しい。
この病院で働くことになれば、水無瀬家が面倒を見てくれるだろう、と。
これはチャンスだ。
和馬は覚悟を決め、この病院で働きながら水無瀬家が没落した原因を探る為の生活を始める──
緑ヶ丘病院-外観
病院内部
ストーリー
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